熱処理とは簡単にいうと、金属を硬くしたり柔らかくしたりして機械的な性質を変える処理のことです。自動車の足回り、エンジンやトランスミッション、ノートパソコンのヒンジ金具、プリンタの印字部の部品、駅の自動改札口の扉を駆動するモーター、携帯電話の接点など数え上げればきりがありません。皆さんの身の回りにも熱処理された物はたくさんありますが、熱処理は目で見える物ではないのでなかなかそれとは気付きません。熱処理は陰ながら皆様方のお役に立っているのです。
現在は熱処理の設備の電子化が進み、昔のように勘にだけ頼るということは少なくなりましたが、それでも目で見えるものではないため管理が大変です。主要用途である自動車部品向けは、特に高いレベルの品質管理が要求されます。
熱処理には、一般熱処理と表面熱処理があります。
熱処理 | |
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一般熱処理(焼入れ、焼戻し、焼鈍し、焼ならし) | 表面熱処理(浸炭、窒化、高周波) |
金属疲労が起きると、最大せん断応力を受ける表面に亀裂が発生・伝播し、破壊に至ります。
したがって、金属の表面層の機械的性質は、きわめて重要な役割を果たしていると言えます。
浸炭焼き入れのねらいは、表面層を0.7%~0.9%Cにして焼き入れを行い、材料の組織をマルテンサイトに変態させることで、硬さおよび引張強さをアップさせることです。
結果として、疲れ強さと耐摩耗性が向上します。
低炭素鋼が高温でオーステナイト組織になり、浸炭性ガスと接触すれば、雰囲気中の炭素が鋼表面から浸入し、内部に拡散していきます。このようにして鋼内部は炭素量が低いまま、炭素量の多い表面層を得ることができます。浸炭方法としては、固体浸炭からはじまって、現在多くの方法が用いられていますが、弊社でも採用しているガス浸炭方法が最もポピュラーです。
浸炭方法 | 浸炭の反応 |
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ガス浸炭 | プロパンまたはブタンなどの原料ガスと空気を混合し、ガス変成炉で反応させた吸熱型変成ガスを浸炭性ガスとして浸炭を行う方法。 |
表面にアンモニアガス(NH3)から窒素を取り入れ、炭素とともに浸入させることで焼き入れ性が向上(焼入変形が減少)します。
熱処理とはモノに熱を加え性質を変えることであり、食品等にも表示してありますが、当社は鉄鋼材料を適切な温度に加熱し冷却速度を変えることによって鋼の性質を改善する金属の熱処理を専門に行っています。
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