めっき技術
当社では、市場環境の変化やお客様のニーズに応じた技術開発を行ってきました。その中で、お客様から高い評価をいただいているめっき技術をご紹介いたします。
車載部品ニーズの変遷と当社の技術開発
年代 | 市場環境 | お客様のニーズ | 当社対応(詳細は下記参照) |
---|---|---|---|
2000年代 | 自動車の電装化⇒車載電子部品の増加 | 高品質なめっき品の安定調達と コストダウン |
広幅多本取りめっき加工 |
2010年代 | 貴金属価格の高騰 | 省金化 (貴金属を極力減らしたい) |
Auスポットめっき |
2020年代~ | 電動車(EV、HEVほか)の需要増 | 耐熱性と耐摩耗性を兼ね備えたAgめっき品の需要増 | Agめっき結晶制御技術開発 |
大電流コネクタに使用される厚板材へのAgめっき加工 | 厚板材に対応したAgめっき |
当社のめっき技術
広幅多本取りめっき加工
広幅素材への多本取りめっき加工により、加工費削減・短納期対応を実現
めっき加工は素材の長さに応じて、加工時間が増減します。 製品幅×倍数の多本取り加工を行うことで、めっき加工時間の削減が可能となりコストダウン、リードタイム短縮につながります。
当社では全面めっきの多本取りだけでなく、ストライプめっきやAu、Snめっきなど複数のめっき種を組み合わせたレイアウトの多本取りを可能にしている点も強みとしており、 お客様の様々なご要望にお答えします。
-
通常めっき加工 (製品幅1条取り)
製品幅の素材にめっき加工を行います。(主に少量品や試作品)
試作品などの少量から対応可能な点を強みとしております。
-
広幅多本取りめっき加工 (多条取り)
製品幅よりも幅の広い素材に多本取りめっき加工を行います。 (主に多量品)
加工時間削減によるコストダウンや短納期が可能な点を強みとしております。 全面めっき品だけではなく、ストライプめっき品、多色めっきなど様々なめっき種でも対応が可能です。
コスト | デリバリー | ||
---|---|---|---|
通常めっき | ▲ | ▲ | |
広幅めっき | ◎ | ◎ |
広幅めっき レイアウト例
全面めっき
分割例
ストライプめっき
分割例
多色めっき
分割例
※上記は一例となります。 所要の数量、めっき仕様から最適な加工方法をご提示させていただきます。
Auスポットめっき
必要な箇所だけにAuめっきを施すことにより、Au使用量を大幅に削減
従来のマスキングテープを用いたAuストライプめっきは、得意先でのプレス加工時に部品とならない部分はスクラップとなっていました。
当社のAuスポットめっきは部品とならない部分にはAuめっきを施さず、必要な箇所だけにAuめっきを施すことにより大幅なコストダウンが可能です。
ストライプ | 方法 | スポット |
---|---|---|
Ni下地+部分Au (ストライプ) Au膜厚 ≧ 0.05µm |
仕様 | Ni下地+部分Au (スポット) Au膜厚 ≧ 0.05µm |
10 | Au量対比 | 3 |
Au量を大幅に削減、コストダウンを達成できます
※めっきレイアウトによってAu削減量は変動することがあります
材料仕様 | |
---|---|
素材 | 銅系全般 |
板厚 | 0.15~0.8mm |
幅 | ~120mm |
最大重量 | 500kg |
スポット仕様(mm) | |
---|---|
最小 | 1.0x1.0 |
最大 | 20.0x20.0 |
公差 | ±0.3 |
めっき仕様 | |
---|---|
金属 | 上限めっき膜厚(μm) |
Ni下地 | 2.5 |
Au | 1.2 |
Cu下地 | 1.0 |
Sn | 3.0 |
ガイド穴加工について
スポットめっきはめっき位置合わせのため素材にガイド穴を空ける必要があります。
ガイド穴加工は弊社で設計から加工まで対応することが可能です。
・ガイド穴加工例
※めっきレイアウトによって変動することがあります。
穴径 | Φ 1.5mm |
---|---|
穴ピッチ | 20mm |
穴位置 | 素材端から2mm |
Agめっき結晶制御技術開発
Agめっきの結晶粒を制御することで、高硬度と低硬度の作り分けが可能
(用途に応じた耐摩耗性、耐熱性を実現)
Agめっきは装飾としての利用だけでなく、その優れた電気特性から導電性が求められる電気接点まで幅広く使用されています。スイッチやコネクタなどの用途では接点部での摺動による摩耗が避けられないものもあり、耐摩耗性向上を目的としてSbなどの元素を添加したAg合金めっきが使用される場合もあります。
しかしながらこれらの添加元素は高温下で酸化し、接点部の特性を著しく損なう可能性があるため、純Agとしての電気特性を残しながら高硬度で耐摩耗性に優れたAgめっきが求められてきました。このような状況からDOWAは、独自の結晶制御技術を用いて純Agでありながら高硬度で耐摩耗性に優れためっき膜を開発し提供しています。
またあえて低硬度化させることにより、さらに耐熱性や曲げ加工性を向上させることも可能となっており、使用用途に合わせて選択いただけます。
Agめっきの種類
Agめっきの硬度
DOWA純Agめっきはめっき後も高硬度を維持
接触抵抗
DOWA純Agめっきは150℃耐熱後も低接触抵抗を維持
Ag膜厚: 3μm
温度: 150℃
荷重: 1N
耐摩耗性
高硬度Agめっきを使用することで耐摩耗性が向上
摺動試験条件
板厚 | 0.3mmt |
---|---|
Ag膜厚 | 5µm |
インデント 側面率半径 |
1mm |
荷重 | 300gf |
摺動速度 | 100mm/min |
摺動回数 | 50回 |
摺動距離 | 5mm |
グリス | 不使用 |
n数 | 各試行3回 |
厚板材に対応したAgめっき
大電流コネクタにも対応可能な厚板材への
Agめっき加工
自動車市場は2030年に年間販売台数1億台を突破すると言われています。 その中でも電気自動車は急速に普及していくと予想され、端子部品の大電流化に伴って厚板材へのAgめっき需要が増えています。
板厚の厚い材料へのめっき加工は様々な制約があり難易度も高いですが、 DOWAでは従来の上限である板厚1.5mmから、足元では板厚3.0mmまで対応スペックを拡げてきました。 ボリュームゾーンの薄板材から大電流コネクタ等に使用される厚板材まで、幅広い材厚に対応が可能です。