生産技術(機械担当)の仕事とは
入社6年目にして、工場の機械設備を
計画の白紙段階から一貫して手掛ける。
生産技術職の仕事を、錫回収工場新設を例に具体的に紹介します。
電子基板等をリサイクルするTSL炉から排出された不純物から、さらに錫(Sn)を抽出して製品化したいという案件が示されました。研究室レベルでは何とか行けそうだという話でしたが、その時点でどのような工場にするかはまったくの白紙。
電子基板には錫と鉛の合金であるハンダが大量に含まれますが、錫と鉛はとても相性の良い金属のため分離が難しいとされてきました。そんな錫の回収工場を一から作りあげるというプロジェクト。入社早々新炉建設に携わった経験以降一人で任される仕事が増えてきた中で、私はこのプロジェクトに機械担当のリーダーとして参画することに。入社6年目でした。
まず最初は、研究開発担当と詳細に議論を繰り返し色々と詰めて行くところから始めます。建設計画、予算、設備設計、仕様策定など、連日の会議を経て青写真を描いていく。例えば、炉には高炉、反射炉、焙焼炉など色々ありますが、最終的に電気炉を採用することに。そういういちばん基本的な部分の仕様決定にも関与します。その後、研究室の試験官レベルで成功していた錫の回収を中規模試験装置で検証し、さらに具体化していきます。
詳細設計に入って行くとエンジニアリング専門会社の協力も得ますが、そうした機械関係のまとめ役も担います。工事が始まると工程や予算の管理など工事監理が重要な仕事となります。そしていよいよ試運転という段階に。
白紙の状態から携わり完工まで約2年を費やし、ひとつの工場を建てました。初めて炉から錫が抽出された時は安堵で身が震えました。
その後も順調に稼働し、この工場は当初の想定以上の利益を生み出しています。